NISAでの投資信託の積立に慣れてくると、個別の企業を応援したり配当を楽しんだりできる「個別株」にも挑戦してみたくなりますよね。しかし「株を買うと毎月の積立が続けられなくなるのでは」と不安に思い、足踏みしてしまう方も少なくありません。
この記事の結論
結論として、NISAで個別株を購入することは可能です。個別株は「成長投資枠」を利用して購入でき、つみたて投資枠の年間上限とは完全に別枠として扱われます。
調整が必要になるのは投資枠ではなく、ご自身の「毎月の予算配分」です。現在の積立状況に合わせて、次のように進めるのが理想的です。
- 積立がまだ始まっていない人:まずは積立投資を1本稼働させ、個別株はその後にプラスする
- すでに積立を続けている人:積立額は削らず、毎月の余剰資金の範囲内で株式を購入する
- すべての人に共通する必須点:最初の株を買う前に「配当受取方式」が正しく設定されているか確認する
積立が動いていて、買う前の確認だけ知りたい人は買う単位と配当の受け取り方へ。
個別株に挑戦しようか迷うのは、積立投資の資金や枠を奪い合ってしまうように感じるため
実際にやりくりが必要なのは「毎月の家計の余裕資金」であり、年間の非課税枠そのものを奪い合うわけではありません。
個別株の購入をためらってしまう背景には、制度の枠組みと株式投資特有のルールに対するいくつかの誤解があります。
同じ口座内で管理するため、株を買うと積立の非課税枠が削られるように見えてしまう
個別株も投資信託も同じNISA口座内で取引するため、「株を買った分だけ積立で使える枠が減ってしまう」と感じられがちです。
しかし実際には、口座内で2つの枠が独立して管理されています。詳細は次の見出しで解説します。
国内株式の売買単位は原則100株。一度にまとまった初期資金が必要だと感じやすい
国内の上場株式は、通常100株を1単元として取引されます。このルール通りに買うと、株価の100倍のまとまった資金が一度に必要となります。
そのため「毎月の積立資金を圧迫する」と思われやすいですが、1株単位などの少額から取引できる方法も用意されています。
株式投資は銘柄選びやタイミング判断に時間を取られ、積立設定が後回しになりがち
積立投資は一度設定すれば全自動で継続しますが、個別株は「どの銘柄をいつ買うか」をその都度判断する必要があります。
銘柄選びに悩んでいるうちに、本来最優先すべき積立のスタート自体が後回しになってしまうケースがよく見られます。
個別株は「成長投資枠」で購入可能。つみたて投資枠の年間枠とは別枠で管理される
成長投資枠で個別株を購入しても、その年に使えるつみたて投資枠の金額が減ることはありません。
個別株の取引は「成長投資枠」限定。つみたて投資枠では購入できない
つみたて投資枠で購入できるのは、長期・分散投資に適した一定の投資信託に限られており、個別の株式は対象外です。
個別株を取り引きしたい場合は「成長投資枠」を利用します(※整理銘柄・監理銘柄など一部を除く上場株式が対象)。
年間上限枠は2つの枠で独立。株を買ってもその年の積立可能額は減らない
つみたて投資枠の年間上限は120万円、成長投資枠の年間上限は240万円と、それぞれ独立して定められています。
2つの枠は同じ年に併用可能です。金融庁も「つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に投資することが可能」と説明しており、株を買ったからといって積立投資の枠が圧迫される心配はありません。
生涯非課税枠(1,800万円)は共通。成長投資枠には1,200万円の内枠上限がある
年間枠は別々ですが、生涯を通じて使える非課税保有限度額(1800万円)は2枠で共有されます。また、そのうち成長投資枠として使えるのは最大1200万円までという内枠制限があります。
株を購入した金額も生涯枠の一部を消費するため、長期的な視点で見れば同じ枠を分け合う形になります。
積立が未設定なら、個別株を始める前にまず毎月の積立を1本動かそう
毎月の積立額を先に確定させておくことで、個別株に回してよい安全な予算枠が見えてきます。
個別株を始めるタイミングとしては、資産運用の基盤が整っているかどうかが重要な目安になります。
- まだ早い状態:毎月の定期積立が設定されていない
- まだ早い状態:生活防衛資金としての現金を十分に確保できていない
- 始めてよい状態:毎月の積立が順調に稼働し、生活費と積立額を引いても手元に余裕資金が残る
積立は一度設定すれば自動継続。判断の多い個別株よりも先に土台を作れる
積立投資は一度設定すれば毎月自動で買い付けが行われます。一方、個別株は買い付ける都度リサーチや投資判断が必要です。
まずは全自動で資産形成が進む「積立の仕組み」を先に作っておけば、株選びにどれだけ時間をかけても運用の歩みが止まることはありません。
積立額を先に確定させることで、余剰資金の中から個別株に使える予算が明確になる
毎月の積立額を先に決めておけば、「手取り収入 − 生活費 − 積立額」の計算によって、株に回しても安全な余裕資金の上限が自然と割り出せます。
個別株は投資信託よりも価格の振れ幅が大きいため、必ず失っても生活に支障のない余剰資金で取り組むことが原則です。
積立がすでに稼働中なら、積立額を削らずに無理のない余剰資金で個別株と両立する
すでに積立設定が順調に回っている方は、無理に積立額を減額する必要はありません。
積立はこれまで通り継続しつつ、ボーナスなどのまとまった余裕資金や月々のへそくりの範囲で少しずつ個別株を買い足していくことで、理想的な両立が可能です。
個別株をNISAで購入する前に確認しておくべき2つの重要項目(単元未満株と配当受取方式)
最初の買付を行う前にこの2点さえ押さえておけば、後から手続きで困ることはありません。
少額から始めたい場合は、1株単位で買える「単元未満株」のNISA対応状況をチェック
通常は100株単位でしか買えない日本株ですが、主要ネット証券では1株単位から売買できる「単元未満株」サービスが用意されています。
楽天証券(かぶミニ)やSBI証券(S株)では、成長投資枠を使って単元未満株を非課税で購入できます。マネックス証券(ワン株)でもNISA口座での取引に対応しています。
数百円〜数千円から有名企業の株主になれるため、まずは少額で試してみたい方におすすめです。
※証券会社ごとの機能比較は、みんかぶのNISA口座比較で確認できます。
配当を非課税にするには「株式数比例配分方式」の設定が必須(他方式では課税される)
NISA口座で個別株を購入する際、最も注意が必要なのが「配当金の受取方式」です。
NISAで得られる配当金を非課税にするには、証券口座で配当を受け取る「株式数比例配分方式」を選択しておく必要があります。銀行振込や郵便局での受取など他の方式を選んでしまうと、NISA口座で保有していても配当金に約20%の税金が課されてしまいます。
税制上の詳しい仕組みはNISAに税金はかかる?確定申告は必要?で解説しています。
配当受取方式は全証券口座で共通適用されるため、他社口座の保有状況も確認しておく
「株式数比例配分方式」を選択すると、その設定は他の証券会社に開設している口座(特定口座や一般口座など)にも自動的に同一適用されます。
証券会社ごとに異なる受取方式を使い分けることはできないため、すでに他社で個別株を保有している方は事前に設定状況を確認しておきましょう。
個別株を売却する際の注意点(売却枠の復活は「翌年以降」になる)
売却した分の非課税枠が再利用できるようになるのは「翌年」のため、短期売買を繰り返すとその年の投資枠を急速に消費してしまいます。
売却した分の非課税枠が復活するのは「翌年」。戻る枠の大きさは購入時の簿価分
NISAの非課税枠は、購入時の価格(簿価)で管理されます。株を売却した場合、その商品を購入した金額に相当する生涯枠が復活しますが、再利用できるのは「売却した翌年1月1日以降」となります。
株価がどれだけ値上がりして売却できたとしても、翌年に復活する枠はあくまで「購入時の元本分」となる点も覚えておきましょう。
同一年内に売買を繰り返すと、その年の年間投資枠(240万円)を急速に消費してしまう
一度使った「その年の年間投資枠」は、年内に売却してもその年のうちには戻りません。同じ年に売却して別の株を買い直すと、買い直した分だけ新しい年間枠を消費します。
短い期間で頻繁に売買を繰り返すと、あっという間に成長投資枠の年間上限(240万円)を使い切ってしまうため注意が必要です。
NISA口座で発生した売却損は、他の特定口座などの利益と損益通算できない
NISA口座で取引した個別株で損失が出た場合でも、通常の特定口座などで得た利益と相殺して税金を減らす「損益通算」はできません。また、損失を翌年以降に持ち越す「繰越控除」も対象外となります。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。
