ネットやSNSで「学資保険はもういらない」という意見を見かけて、これからの教育資金をどちらで準備すべきか迷っているご家庭は多いはずです。
この記事の結論
判断の決め手は、単に「どちらの方がお金が増えるか」ではありません。万一の事態への保障、途中引き出しのしやすさ、解約時のリスクのうち、どれを最も優先するかによって適した選択肢が決まります。
- 契約者(親)の万一に備える「保険料払込免除」を重視したい家庭:学資保険が適している
- 進学まで十分な期間があり、相場の値動きを許容できる家庭:こどもNISAが適している
- すでに学資保険に加入している家庭:解約を焦らず、学資保険を土台としてこどもNISAの上乗せを検討する
なお、こどもNISAは2027年1月1日からスタートすることが法律で決定しています。原則として12歳未満は引き出せないルールとなっています。
「学資保険は不要」と言われる背景と、利回り重視の比較で見落とされがちな視点
不要論が叫ばれる理由は資産の増え方や中途解約リスクにありますが、学資保険には利回りだけでは測れない「保障」の側面もあります。
「学資保険はいらない」という声が目立つ理由は確かに存在します。しかしその多くは、好調な株式相場を前提とした運用利回りだけを比較した結果です。学資保険が持つ固有の役割も整理しておく必要があります。
不要論の多くは、投資信託との「資産の増え方(利回り)」の差が根拠になっている
学資保険が不要とされる最大の根拠は、投資信託を長年積み立てた場合と比べた際の「返戻率の低さ」です。
ただし、学資保険の予定利率や満期保険金の条件は各社の商品設計によって大きく異なります。正確な比較には最新のパンフレット等での確認が不可欠です。
中途解約時に元本割れ(解約返戻金が払込保険料を下回る)するリスクがある
学資保険の多くは、途中で解約すると戻ってくるお金が支払った保険料総額を大きく下回る「元本割れ」のリスクを抱えています。特に加入後数年以内の解約では、返戻金がほとんど戻らない商品も存在します。
生活防衛資金が不足している状態で無理に加入すると、この途中解約リスクが重い負担となってしまいます。
契約者(親)の万一に備える「保険機能(払込免除)」は、利回り比較から抜け落ちがち
学資保険には、一般的な投資信託にはない「保険料払込免除特則」が備わっています。万が一契約者である親が死亡または所定の高度障害状態になった場合、その後の保険料支払いが免除され、満期金は予定通り満額受け取れる仕組みです。
単なる運用成果のシミュレーションだけでは、この重要なセーフティネット機能が見落とされがちです。
学資保険とこどもNISAの根本的な3つの違い(保障機能・引出制限・中途解約)
どちらが上位というわけではなく、「万一への備え」と「引き出しやすさ」のアプローチが全く異なる2つの仕組みです。
こどもNISAは、未成年者向けつみたて投資枠の通称です。0〜17歳の子ども名義で、国が指定する公募投資信託などを積み立てていきます。
学資保険との主な相違点は下表の通りです。
| 比較項目 | 学資保険 | こどもNISA |
|---|---|---|
| 親に万一のことがあったとき | 払込免除により以後の支払いが免除され、学資金を満額受取可能 | 払込免除のような保障機能はない |
| 資金を引き出せる時期 | 契約プラン所定の時期(高校・大学入学時など) | 12歳未満は原則不可。12歳以降は子の教育費・生活費に限り可 |
| 途中でやめた場合の扱い | 解約返戻金が払込保険料総額を下回ることがある | 制限期間中に口座を廃止すると過去の利益に課税される |
出典:生命保険会社の公式商品ページ(2社)/金融庁 NISA特設ウェブサイト/財務省 令和8年度 税制改正の解説/国税庁 令和8年度 税制改正のあらまし(2026/10/26時点)
※学資保険の詳細は各保険会社の商品案内をご参照ください。こどもNISAの条件は法令に基づく規定です。
学資保険には「保険料払込免除特則」があるが、こどもNISAには保障機能がない
学資保険の最大の強みは、一家の大黒柱に万一の不幸があった場合でも、教育資金の積立が確実に達成される点にあります。
一方、こどもNISAはあくまで税制優遇口座にすぎないため、生命保険のような保障機能は一切付加されていません。
なお、こどもNISAでも扶養者が死亡等でひとり親世帯となった場合には12歳未満でも税務署長の確認を経て全額払出しが可能ですが、これは口座残高を引き出せるだけであり、未払込分の補填がなされるわけではありません。
こどもNISAは原則12歳まで引き出せず、12歳以降も教育費等への充当要件がある
こどもNISAの資産は、原則として0〜17歳までの間は外部に出金できません。12歳未満の払出しは災害等の非常時に限定されます。
12歳以降であっても、使途は子どもの教育費または生活費に限られ、子どもの同意書面を添えて申請する必要があります。
要件を満たさない出金を行うと口座が強制解約され、過年度の利益にも遡って課税されるため、「引き出しの制約」は学資保険に限った話ではない点に留意しましょう。
こどもNISAは2027年1月スタート。法改正は公布済みで各社の受付が順次進行中
こどもNISAを創設する改正法は2026年3月31日に公布されており、政省令を含め基本ルールは確定しています。
年間投資枠は60万円、未成年期間の累計上限枠は600万円となります。制度全体の骨組みはこどもNISAとはで解説しています。
学資保険が適している家庭(万一の保障と強制的な貯蓄性を重視する場合)
親に万一のことがあった際の教育費確保を最優先したいご家庭には、払込免除付きの学資保険が安心です。
万一の事態でも確実に進学費用を残したいなら、払込免除付き学資保険が心強い
自分に万一のことがあっても子どもの進路だけは絶対に守りたい、という強い想いがある場合、払込免除機能は非常に強力な支えとなります。
ただし、すでに十分な死亡保障を持つ生命保険に別途加入している世帯であれば、学資保険で重ねて保障をカバーする必要性は薄れます。
返戻率や払込免除の適用条件は商品ごとに異なるため、事前比較が欠かせない
満期時にいくら受け取れるのか、解約返戻金の推移はどうなっているか、免除される事由の範囲はどこまでかは保険会社各社で差があります。
具体的な比較は、保険の比較ポータルなどを活用して各社設計書を確かめてみましょう。
こどもNISAが適している家庭(運用期間が長く、市場の値動きを許容できる場合)
進学まで10年以上の十分な時間があり、小学校卒業まで途中で引き出す必要のない家計状況なら、こどもNISAの運用メリットを最大限に享受できます。
資金を使うまでの期間が長ければ、一時的な下落相場からの回復をじっくり待てる
投資信託には元本保証がなく、景気後退期には価格が下落します。しかし、高校や大学進学まで10年〜15年以上の時間的猶予があれば、途中で相場が低迷しても慌てず保有を続けて相場の回復を待つことができます。
小学校卒業まで引き出す予定のない余裕資金なら、払出し制限もデメリットにならない
こどもNISAのお金は12歳まで原則引き出せませんが、もともと「大学入学時まで使わない」と決めている余裕資金であれば、この制限が家計の足枷になることはありません。
万が一それ以前に入用になる可能性があるお金は、手元の預貯金や親の通常NISAでキープしておきましょう。
18歳到達時に大人のNISAへ自動移行し、余った資金も非課税のまま長期運用できる
18歳を迎える年の1月1日になると、口座は成人向けNISAへと自動的に引き継がれます。
学費として使い切らなかった資産は、そのまま子ども名義のNISA口座内で非課税(無期限)のまま運用を継続できるため、将来の社会人準備資金としても無駄になりません。
親名義のNISA口座でも教育費の積立は可能なため、名義分けは柔軟に検討できる
教育資金の準備は、必ずしも子ども名義にこだわらず親のNISA口座内で行うことも可能です。親名義であればいつでもペナルティなしで一部出金できる柔軟性があります。
名義ごとの使い分け方針は、子育て世帯のNISAで詳しく整理しています。
すでに学資保険に加入中の家庭は、途中解約せず「こどもNISAの併用・上乗せ」を検討しよう
加入初期の途中解約は大きな元本割れを招くケースが多いため、既存契約はそのまま維持しつつ余裕資金を投資へ回すのが堅実です。
契約初期に解約すると元本割れしてしまい、保険の保障も失われてしまう
学資保険を中途解約すると、解約返戻金が支払済保険料を大幅に下回るのが一般的です。損失を出してまで資金をこどもNISAに移しても、そのマイナスを取り戻すのには相応の年数がかかってしまいます。
また、同時に万一の払込免除保障も消滅してしまう点に注意が必要です。
既存の学資保険をベースとして維持しつつ、余剰資金でこどもNISAを上乗せする
学資保険とこどもNISAは二者択一である必要はなく、両方を組み合わせて持つことも賢い方法です。こどもNISAは2027年1月1日以降いつでも開設できます。
「確実な進学費用は学資保険で手堅く確保し、インフレ対策としてのプラスアルファをこどもNISAで積み立てる」というハイブリッドな資産形成が可能です。
現在の解約返戻金額と満期時受取額を照らし合わせてから、慎重に判断しよう
どうしても解約を検討したい場合は、まず保険会社に現在の正確な解約返戻金額を問い合わせてみましょう。満期まで保有した場合の金額と冷静に見比べた上で最終判断を下すのが安全です。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。
