子どもの将来のために資産形成を始めたいと思いつつ、「一度入れると引き出せなくなるのでは」と不安に感じるご家庭は多いはずです。この記事では、法律で定められた制度のルールと、こどもNISAに入れるべき資金の判断基準を順を追って解説します。
この記事の結論
こどもNISAとは、0〜17歳の子ども名義で「つみたて投資枠」を活用して積み立てを行う非課税制度です。
法律上の規定により、2027年1月1日から制度がスタートすることが決定しています。
成人向けの一般NISAと最も大きく異なる点は「払出しの制限」です。12歳未満は災害などの例外を除き原則として引き出せず、12歳以降も子どもの教育費や生活費への充当に用途が制限されます。この制限は、子どもが18歳を迎える年度の前年末(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)まで続きます。
制度を活用すべきかどうかは、「その資金をいつ・誰のために使う予定なのか」によって判断が分かれます。
- 小学校卒業(12歳)までに使う可能性がある資金:こどもNISAには入れない
- 子どもの教育費以外にも使う可能性がある資金:柔軟に引き出せる親のNISAや現金で管理する
- 高校・大学進学まで子どものために据え置ける資金:こどもNISAの有力な候補にする
対象となる資金の目処が立ったら、次は毎月の積立設定額を具体的に決めていきましょう。
ジュニアNISAで持っている分の扱いを知りたい人はジュニアNISAは今どうなっている?へ。
子ども名義の口座で「引き出せなくなる」と心配される理由と制限ルール
不安を感じるのは自然なことですが、払出し制限の具体的な要件は法律で明確に定められており、事前に確認しておくことができます。
「子ども名義にするとお金が拘束されてしまう」と心配される背景には、成人向けNISAには存在しない厳格な払出しルールがあるためです。ただし、いつどのような用途であれば引き出せるのかは法令で定められています。
子ども名義の口座は子どもの財産。親の都合だけで自由に引き出すことはできない
こどもNISAの口座は、子ども本人の大切な名義資産となります。そのため、いくら親が必要だと判断しても、親の裁量だけで自由に引き出すことはできません。
12歳以降に払い出す場合であっても、制限期間中である限り「子どもの同意を示す書面」の提出が必要となります。親名義の口座とはこの点が根本的に異なります。
制度開始前のため、情報によって「予定」と「決定」の表記が混在している
こどもNISAはこれから開始される制度であるため、媒体によって「予定」と書かれていたり「決定」と書かれていたりと表現にバラつきが見られます。
実際には、こどもNISAを定めた改正税法はすでに公布されており、詳細な規則を定める政令・省令も公布済みです。
本記事では、法律で確定したルールを「決定事項」として整理し、各金融機関の実務受付など変更の可能性がある部分を「予定」として区別して解説します。
こどもNISAの制度概要(子ども名義で「つみたて投資枠」のみを利用する仕組み)
制度の基本骨格は法令で定められており、2027年1月1日から全国でスタートします。
「こどもNISA」は一般的な通称であり、法令上は「未成年者特定累積投資勘定」、国税庁の資料などでは「未成年つみたて投資枠」と位置付けられています。文字通り、未成年のためのつみたて投資枠という仕組みです。
成人向けNISAとの主な相違点は下表の通りです。
| 比較項目 | こどもNISA(0〜17歳) | 成人向けNISA(18歳以上) |
|---|---|---|
| 利用できる枠 | つみたて投資枠のみ | つみたて投資枠と成長投資枠を併用可能 |
| 年間投資枠 | 60万円 | つみたて投資枠は120万円(合計最大360万円) |
| 非課税保有限度額(上限) | 未成年期間で最大600万円まで | 生涯で最大1800万円まで |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 金融機関の変更 | 0〜17歳の間(1月1日時点判定)は変更不可 | 年単位で自由に変更可能 |
| 払出し(引き出し) | 原則制限あり(12歳以降は要件付きで可) | いつでも一部・全額の売却・出金が可能 |
出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト/財務省 令和8年度 税制改正の解説/国税庁 令和8年度 税制改正のあらまし(2026/10/23時点)
※上表は現行の法令に基づく決定内容です。各金融機関の受付手順などは順次更新される場合があります。
利用できるのは「つみたて投資枠」のみ。対象商品は成人枠と共通
こどもNISAで利用できるのは「つみたて投資枠」に限定されており、個別株などを一括購入できる「成長投資枠」は使えません。
購入可能な銘柄は、大人のつみたて投資枠と同じく金融庁の基準を満たした公募投資信託などです。買い方も、定期的に定額を自動買付する積立契約に限られます。
年間枠・上限枠は未成年専用に設計されている
こどもNISAの利用枠は、成人の枠とは完全に切り離して小さめに設定されています。年間投資枠は60万円、0〜17歳までの累計上限額は600万円です。
この上限枠のカウントは「買付時の価格(簿価)」で行われ、運用によって値上がりした評価益によって枠が圧迫されることはありません。
18歳を迎える年の1月1日に、成人向けNISA口座へ自動移行する
子どもが18歳になる年(その年の1月1日時点で判定)を迎えると、同一口座が成人向けNISAへと自動的に切り替わります。特別な移行手続きは必要ありません。
切り替わった後は成長投資枠も利用可能となり、子ども本人の生涯にわたるNISA口座として運用を引き継ぐことができます。
資産の払出しルール(原則12歳以降・教育費や生活費への充当に限定)
12歳未満は災害など法令上の例外を除いて引き出せず、12歳以降も所定の使途と子どもの同意書面が必要です。
こどもNISAの預託資産は、0〜17歳の間は原則として外部へ払い出すことができません。例外として認められるのは、災害等の不可抗力や上場廃止時、そして12歳以降の所定要件を満たした場合に限られます。
12歳未満は災害など法令で定める特別な事由を除き払出し不可
小学校卒業前(12歳未満)に資産を引き出せるのは、災害などやむを得ない事情が発生し、税務署長の確認を受けた場合に限られます。
この例外適用時は一部解約ではなく、口座内の全額を払い出して口座自体を廃止する形をとります。
12歳以降は子どもの同意書面を添えることで、教育費・生活費として払出し可能
中学生年代(12歳到達後)になると、一定の要件を満たすことで払出しが可能になります。ただし使途は、子どもの教育費または生活費に充てる目的に限定されます。
財務省の公式解説では、具体的な使途の例として「進学先の入学金や授業料など」が挙げられています。
手続きは親権者が金融機関へ申請を行いますが、その際に「子ども本人が払出しに同意したことを証明する書面」の添付が求められます。
万が一要件を満たさない不適切な払出しを行った場合、口座は強制廃止され、それまでの運用益に対しても過去に遡って課税されるため注意が必要です。
運用商品の売却益や分配金も専用口座に留まり、同様の払出し制限を受ける
こどもNISA口座の中で保有している投資信託を売却すること自体はいつでも可能です。しかし、売却して得た現金や分配金は金融機関内の専用預金勘定に入金されます。
この専用勘定にある現金にも同様の払出し制限がかかるため、一度売却して現金化したからといって親の生活口座へ自由に出金できるわけではありません。
なお、この専用勘定内の現金を使って別の投資信託を買い直すことは認められています。
払出し制限は高校卒業相当(18歳を迎える年度の前年末)で解除される
この厳格な払出し制限が適用されるのは、「その年の3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで」と定められています。その翌日(高校3年生の1月1日以降)からは出金制限が完全に解除されます。
大人のNISA口座に切り替わる基準日(1月1日時点の年齢判定)とは基準の数え方が若干異なるため留意しておきましょう。
こどもNISAを活用すべきかどうかの判断基準(「使う時期」と「資金の使途」)
払出しルールに合致した資金だけを割り振るようにすれば、資金拘束が不安の種になることはありません。
制度上の引出制限を後から変更することはできません。そのため、「このお金はいつ・何のために使うのか」を明確にした上で預け先を振り分ける必要があります。
小学校卒業(12歳)までに使う可能性がある資金は、こどもNISAに入れない
中学入学前までに使う見込みのある資金は、こどもNISAへ入れてしまうと原則引き出すことができません。こうした短期的な資金は、預貯金や親名義の通常NISAで確保しておくのが基本です。
親の通常NISAであれば、急な出費が必要になった場合でもいつでも一部売却して出金できます。
使途を教育費等に限定できない資金は、柔軟に引き出せる親名義のNISAで運用する
12歳以降であっても、制限期間中は子どもの教育費・生活費以外に出金することは認められていません。「家族旅行や住宅購入など、子どもの進学以外にも使うかもしれない」という資金は、親のNISA口座で積み立てる方がはるかに柔軟に対応できます。
親自身の投資枠との使い分けについては、子育て世帯のNISAで詳しく整理しています。
高校・大学進学まで長期で据え置ける資金なら、こどもNISAでじっくり積み立てる
進学時期まで一切手を付けず、将来の子どもの進路のために確実に残しておきたい資金であれば、こどもNISAが最適な選択肢となります。12歳以降は進学費用としてスムーズに活用可能です。
国から支給される児童手当をそのまま積立原資に充てるシミュレーションは、児童手当を全額こどもNISAに回すとどうなるかを参考にしてください。
学資保険との比較では「流動性」と「万一の保障(払込免除)」が比較軸になる
教育資金の定番である学資保険とこどもNISAは、引き出せるタイミングや契約者(親)に万一の事態があった際の補償内容が大きく異なります。
両者の詳しい相違点と選び分けについては、学資保険とこどもNISA、教育資金はどちらで作るかで網羅しています。
口座開設前に決めておくべき2つのこと(金融機関選びと月々の積立額)
こどもNISAは金融機関の途中変更ができないため、事前の比較検討が成否を分けます。
未成年の間は金融機関の変更ができないため、最初の口座選びが肝心
こどもNISAは、0〜17歳の間(1月1日時点の判定)は金融機関を変更することができません。途中で口座を廃止して他社で作り直すことは可能ですが、制限期間中に口座を廃止するとそれまでの運用益に遡及課税されてしまいます。
そのため、どの証券会社で口座を開設するかは最初によく吟味して決める必要があります。
積立金額は「12歳まで絶対に使わない余剰資金」の範囲で設計する
こどもNISAへ入金するのは、12歳まで生活費から切り離して完全に据え置ける余剰資金に限るべきです。その大前提を踏まえた上で、無理なく毎月拠出できる金額を設定しましょう。
年間枠(60万円)および生涯枠(600万円)の範囲内で家計に合ったペースを掴むことが大切です。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。