NISAで運用益が出た際に税金を納める必要があるのか、確定申告を忘れてペナルティを受けないか不安に感じる方は多いはずです。

この記事の結論

結論として、NISA口座の中で得られた売却益や分配金には日本の税金は一切かかりません。原則として確定申告も完全に不要です。

税務上の手続きが必要になるかどうかは、取引する商品や利用口座によって次のように分かれます。

  • つみたて投資枠で通常の投資信託(ETFを除く)を積み立てるだけの人:税務手続きは一切不要
  • 成長投資枠で個別株やETFを購入する人:配当受取方式を「株式数比例配分方式」に指定しておく
  • NISA口座の外(特定口座等)でも並行して取引する人:その取引分のみ通常通り課税される

特定口座を利用する場合でも「源泉徴収あり」を選択しておけば、証券会社が税金を自動計算して納付してくれるため、確定申告を不要にできます。

自分に手続きが要るかだけ知りたい人は確定申告が必要になる人の条件へ。

「NISAでも課税される」と誤解されやすい2つのシチュエーション

実際に課税が発生するのは、NISA口座の外で買い付けた場合か、株式の配当金受取方式が非課税設定になっていないケースに限られます。

「NISAなのに税金が引かれた」という声が聞かれる背景には、制度のルールに関するいくつかの落とし穴が存在します。

同一証券会社であっても「特定口座」で買い付けた分には通常通り約20%が課税される

同じ証券口座の中に「NISA口座」と「特定口座」が並んで管理されています。非課税になるのはあくまでNISA枠の中で買い付けた商品のみです。

注文時に誤って特定口座を選択して購入した商品は、通常の課税対象(税率20.315%)となります。

株式やETFの配当金は、受取設定を誤るとNISA口座内でも課税されてしまう

個別株式や上場ETFの配当金・分配金を非課税で受け取るには、証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選択しておく必要があります。

銀行振込や郵便局受取など他の方式を選択していると、NISA口座で保有している銘柄であっても自動的に税金が差し引かれてしまうため注意が必要です。

※米国株などの外国株式から支払われる配当金に現地で課される外国税は、NISA口座であっても非課税にならず、外国税額控除の対象にもなりません。

NISA口座内の運用益は完全非課税。会社員・自営業問わず確定申告は不要

所定の受取方式を満たしていれば、売却益・配当金・分配金のすべてが非課税となり、確定申告を行う必要もありません。

売却益・配当金・分配金のすべてが無期限で非課税

NISA口座内で生じる売却益、株式の配当金、投資信託の普通分配金はいずれも税金がかかりません。

非課税保有期間も無期限のため、何年・何十年と長期保有を続けても非課税メリットが失われることはありません。

非課税所得として扱われるため、確定申告の義務自体が発生しない

日本証券業協会の公式Q&Aでも明記されている通り、NISA口座で得た配当や売却益は「非課税であるため、確定申告をする必要はありません」。

会社員、自営業、公務員、扶養内パートなど職業や就労形態を問わず、NISA口座の運用分について申告書を作成する必要はありません。

口座の種類による税金と確定申告の違い
利用口座の区分利益にかかる税率(国内)確定申告の要否
NISA口座 非課税(0%) 申告不要
特定口座(源泉徴収あり) 20.315%(自動天引き) 原則として申告不要にできる
特定口座(源泉徴収なし)・一般口座 20.315% 原則として確定申告が必要

出典:国税庁 タックスアンサー/日本証券業協会(2026/10/23時点)

※税率は所得税・復興特別所得税・住民税の合算値です。

※給与所得者で給与以外の所得が年間20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要となる特例が存在します。

確定申告が必要になる例外パターン(NISA以外の課税口座で取引がある場合)

NISA口座のみで投資信託の積立を行っている方であれば、確定申告を求められるケースは一切ありません。

投資信託の積立だけを行っている人は、税務手続きが完全にゼロ

つみたて投資枠などを活用して公募投資信託を定期買付しているだけであれば、利益はすべてNISAの枠組みの中で処理されます。

年末調整や確定申告の時期に書類を準備したり、税務署へ届け出たりする手間は一切発生しません。

特定口座(源泉徴収あり)を併用していれば、課税口座分も確定申告を省略できる

NISA枠を超えて特定口座で運用している場合でも、「源泉徴収あり」を選択していれば証券会社が利益から税金を天引きして納税を代行してくれます。

そのため、課税口座を併用している場合であっても確定申告の手間を省くことが可能です。

NISA口座の損失は他口座と損益通算できないため、損失申告もできない

NISA口座内で売却損が出たとしても、他の課税口座の利益と相殺(損益通算)することは制度上できません。

損失を申告して税金を安くする手続き自体が存在しないため、損失が出た年であっても確定申告の出番はありません。

NISAの運用益は「税法上の扶養判定(配偶者控除など)」の対象外

NISA口座でいくら大きな利益が出たとしても、配偶者控除や扶養控除の判定基準となる「合計所得金額」には一切カウントされません。

非課税利益は合計所得金額に含まれないため、扶養から外れる心配はない

パート収入などで配偶者の税法上の扶養に入っている方が最も気にするのは、「投資で利益が出ると扶養から外れてしまうのではないか」という点です。

税法上の扶養判定には「合計所得金額」が用いられますが、日本証券業協会の公式資料にある通り、NISA口座内の売却益や配当金はこの合計所得金額に算入されません。

したがって、NISAでどれだけ利益を得ても、配偶者控除や配偶者特別控除の適用に悪影響を与えることはありません。

※上記は税法上の扶養に関するルールです。健康保険組合ごとに基準が異なる「社会保険の扶養」については勤務先の規定をご確認ください。

口座開設時に確認しておくべき2つの初期設定

投資信託の積立のみを行う場合は特別な設定は不要ですが、株式投資や課税口座を併用する可能性がある場合は以下の2点を確認しておきましょう。

個別株やETFを購入する予定なら、配当受取方式を「株式数比例配分方式」に設定する

将来的に成長投資枠で日本株やETFを取引する可能性がある方は、証券口座の配当受取設定が「株式数比例配分方式」になっているかを確認しておきましょう。

この設定にしておくだけで、受取時に自動で非課税処理が行われます。

課税口座も開設する場合は、特定口座の「源泉徴収あり」を選択しておく

総合口座を開設する際に特定口座の選択を求められたら、「源泉徴収あり」を選んでおくのが無難です。

将来NISA枠を超えて取引することになった場合でも、確定申告の手間を自動で回避できます。

次にやること

税金の心配がなくなったら、次は制度の仕組みを一度だけ確認しておきます。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。