ネットやSNSで「NISAはデメリットしかない」という過激な記事を見かけて、始めるべきかどうか迷っている方は少なくないはずです。この記事では、よく取り沙汰される6つのデメリットを現行の制度ルールに照らし合わせて1つずつ検証します。

この記事の結論

「デメリットしかない」という極端な意見は明確に誤りです。

よく挙げられる6つの懸念点を検証すると、現行NISAにおいて実際に考慮すべき実質的な制約は「損益通算ができないこと」と「元本割れのリスクがあること」の2点に絞られます。残りの4点は、誤解に基づいているか、事前の資金管理によって十分に回避できる問題です。

数年以内に使い道が決まっている生活資金を投資に回そうとしている人には、これらのリスクが実害となります。そうした短期資金はNISAに入れず預金でキープしておきましょう。

生活防衛資金を確保した上で、10年以上の長期で運用できる余剰資金がある方であれば、残る2点も大きな障害にはなりません。

気になっている点が決まっている人は、6つの判定の一覧から該当する説明へ。

ネットの記事をスマホで読みながら、NISAを始めるかどうか迷っている人

「デメリットしかない」と言われる3つの背景(古い情報と投資一般のリスクの混同)

批判的な意見の多くは、旧制度時代の古い制限や、投資全般に共通する価格変動リスクがNISA固有の欠点として混同されたものです。

否定的な言説が広まりやすい背景には、性質の異なる3つの要因が混ざり合って語られている現状があります。

2023年までの旧NISAの制限(期間満了や枠の消滅)がアップデートされずに語られている

旧制度では非課税期間に最長20年などの期限があり、売却しても投資枠が戻らない仕組みでした。

しかし現行制度では、非課税保有期間が無期限化され、売却枠の翌年復活ルールも導入されています。ネット上には古い制度の前提で書かれたネガティブな記事が今も多く残っています。

「値下がりリスク」という投資全般に共通する特徴が、NISAの欠点として扱われている

株や投資信託に価格変動リスクがあるのは、課税口座であろうとNISAであろうと全く同じです。

NISAはあくまで「出た利益を非課税にするための税制優遇の器」であり、値下がりリスクそのものは投資対象となる商品に起因するものです。

損益通算ができないなど、制度本来の構造的な制約も確かに存在する

すべてが誤解というわけではありません。NISA口座内で損失が出た場合に他口座と損益を通算できないといった、制度設計上の実質的なデメリットも存在します。

よく言われる「6大デメリット」の真偽判定

6つのうち制度上留意すべきなのは2つのみで、残りは誤解か運用方法の工夫でクリアできる課題です。

※現在の新制度では「つみたて投資枠」という名称です。

代表的な6つの懸念点の検証結果は下表の通りです。

よく言われる6つのデメリットと現行制度での事実判定
指摘されるデメリット事実の判定詳しい解説ページ
① 元本割れするから損投資一般のリスク(NISA固有ではない)本セクション①で解説
② 損が出ても他の利益と相殺できない制度上の制約(事実)本セクション②で解説
③ お金が途中で引き出せない明確な誤解(いつでも売却可能)引き出し方について
④ 積立で生活が苦しくなる家計管理の問題(減額・停止で回避可能)積立額の決め方について
⑤ 結局、税金や確定申告がかかる誤解(投信積立なら完全非課税・申告不要)税金について
⑥ 新NISAは改悪された明確な誤解(枠も期間も大幅拡充)本セクション⑥で解説

出典:金融庁/国税庁/日本証券業協会(2026/08/21時点)

①「元本割れするから損」:相場下落リスクはあるが、NISAに限った話ではない

投資信託を購入する以上、市場環境によって元本割れが生じる可能性は常にあります。ただしこれは通常の課税口座で買っても同じことであり、NISA制度を使ったからといって損が大きくなるわけではありません。

②「損が出ても他の利益と相殺できない」:制度上の事実。ただし影響を受けるのは課税口座の利用者のみ

NISA口座で生じた売却損は、他の課税口座の利益と相殺(損益通算)できず、繰越控除も使えません。これは制度固有の制約ですが、影響を受けるのは「課税口座でも個別株などを取引している人」に限られます。

③「お金が途中で引き出せない」:完全な誤解。いつでも部分売却でき、枠も翌年復活する

iDeCo(個人型確定拠出年金)のように60歳まで引き出せない仕組みと混同されがちですが、NISAはいつでも保有資産の一部・全額を売却して現金化できます。

さらに売却した元本分の生涯投資枠は翌年に復活するため、柔軟な資金管理が可能です。

④「積立で生活が苦しくなる」:制度の問題ではなく、無理な積立設定が原因

生活費を削って身の丈に合わない積立を設定してしまうと家計が圧迫されます。主要ネット証券なら積立額の引き下げや一時停止はオンラインでいつでも簡単に行えます。

⑤「税金や確定申告がかかる」:誤解。投資信託の積立なら利益は完全非課税で申告不要

通常の口座なら約20%引かれる税金が、NISA口座ならゼロになります。公募投資信託を積み立てるだけであれば確定申告も一切必要ありません。

⑥「新NISAは改悪された」:誤解。非課税保有期間が無期限化され、投資枠も大幅に拡大

2024年の制度改定により、非課税期間は従来の有限から無期限へと延長され、生涯投資枠も最大1800万円へと大幅に拡充されました。制度面では大幅な改善となっています。

デメリットが実害になりやすいのは「数年以内に使う予定のお金」を投資に回す人

投資資金の性質と、他の証券口座の利用状況によってリスクの重みが変わります。

近いうちに使う予定の資金を入れると、下落相場で損失を抱えたまま解約せざるを得なくなる

住宅の頭金や進学費用など、使い道と期日が決まっている資金をNISAに入れてしまうと、相場が暴落した際に回復を待てずに損を抱えて売却することになります。短期で使うお金は必ず預貯金で確保しておきましょう。

課税口座でも活発に売買している投資家は、損益通算ができない制約を意識する必要がある

特定口座などで株式のデイトレードや配当投資を並行して行っている方は、NISA口座で生じたマイナスを損益通算に回せないルールをあらかじめ計算に入れておく必要があります。

生活防衛資金が手元にない人は、投資の前にまず現金の生活クッションを作ることが先決

万が一の予備資金がないままNISAを始めると、急な出費のたびに投資資産を取り崩すことになってしまいます。

懸念点に該当しない場合は、少額の積立からスタートして生活に合わせて調整しよう

主要ネット証券なら少額から設定でき、積立額の変更や停止もオンラインで自由に行えます。

主要ネット証券なら少額から設定でき、後からいつでも管理画面で金額を変更できる

最初から満額を積み立てる必要はありません。楽天証券、SBI証券、マネックス証券などの主要ネット証券なら、家計に負担のない少額からスタートできます。

積立を途中で一時停止しても、それまで買い付けた資産は非課税のまま口座に残る

家計の状況に合わせて積立をストップした場合でも、それまでに積み立ててきた投資信託が勝手に売却されることはありません。

無理のないペースで少しずつ資産形成の仕組みを作っていきましょう。

次にやること

当てはまるデメリットがなかったら、次は始めるまでの流れを一度だけ確認しておきます。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。