積み立てている口座の評価額がマイナスになり、このまま続けていいのか不安を感じていませんか。慌てて売却すべきなのか、それとも放置していいのか、判断がつかずに立ち止まってしまう場面です。

この記事の結論

相場が下落した局面でまず確認すべきことは、「積立設定が正常に動いているか」を確かめることだけです。

画面に表示されているマイナスの数字は、まだ売却していない資産を現在の価格で計算した「含み損」にすぎません。実際の損益が確定するのは、商品を売却した瞬間です。

積立をこのまま続けるか見直すべきかは、目先の相場動向ではなく「ご自身の家計と資金計画」によって判断します。

  • 当面使う予定がなく毎月の積立も無理なく払えている人:設定は変更せず、そのまま継続するのが基本
  • 数年以内に使う目的のお金が含まれている人:売却を焦る前に、資金が必要な時期と金額を整理する
  • 下落を見て日々の生活まで不安になってしまう人:全額解約するのではなく、積立額の引き下げや一時停止で調整する

やることだけ知りたい人は積立が止まっていないかの確かめ方へ。

相場が下がると焦ってしまうのは、画面のマイナス表示やニュースの過熱感が目に入るため

不安を感じるのは自然な心理ですが、その焦りの多くは口座本来の価値ではなく、数字の見え方や周囲の情報から引き起こされています。

下落相場を前にして何か手を打たなければいけない気がしてしまう理由は明確です。ただし、そのきっかけの多くはご自身の運用の失敗ではなく、情報の見え方にあります。

要因1:口座の「評価損益」にマイナス金額が目立つため

口座のトップ画面には、買付価格と現在の時価の差額である「評価損益」が表示されます。市場価格が下がると、この部分がマイナスとして目立つようになります。

マイナス表記を見ると「損をしてしまった」と直感的に受け止めてしまいがちですが、この数字が具体的に何を意味するのかは次の章で解説します。

要因2:相場全体の急落ニュースが不安を煽り、自分の口座状況と混同してしまうため

メディアが報じる「〇〇ショック」「暴落」といったニュースは、市場の指数がどれだけ大きく動いたかを強調して伝えます。しかし、ニュースの内容がそのまま自分の資産に直結しているわけではありません。

実際の資産額の変動は、保有している商品の種類やこれまでの積立期間によって一人ひとり大きく異なります。

要因3:SNSなどで「即売却」と「買い増し」の相反するアドバイスが飛び交うため

相場急変時には、真逆のアドバイスが同時に流れてきます。どちらも相場の先行きを予想した意見にすぎません。

本記事では、先の読めない相場を予想するのではなく、あくまで「ご自身の家計事情」に基づいた無理のない向き合い方を提示します。

画面上のマイナスはあくまで「含み損」。損益が確定するのは売却した瞬間

値下がりによって変わったのは「現時点の時価」だけであり、買い付けた元本や使った生涯投資枠の計算自体は変わりません。

相場が下落した際に、「変わるもの」と「変わらないもの」を整理すると次のようになります。

  • 変わるもの:保有資産を現時点の時価で再計算した金額(評価額)
  • 変わらないもの:その商品を買い付けた時点の購入代金
  • 変わらないもの:生涯で使える1,800万円の枠のうち、すでに消費した枠のカウント

評価損益は現在の時価で試算した数字にすぎず、確定した損失ではない

画面に表示される評価損益は、未売却の資産を現在の価格で計算した一時的な目安にすぎません。

実際の損益が確定するのは売却したタイミングです。なお、NISA口座で確定した損失は、他の特定口座などの利益と損益通算することはできません。

生涯枠(非課税保有限度額)は購入時の価格(簿価)で計算されるため、値下がりしたからといって消費した枠の金額が変動することもありません。

積立設定は自動継続されるため、相場が下がっても特別な操作は不要

主要ネット証券では、積立設定さえ完了していれば市場の変動に関わらず自動で定期買付が続けられます。

下落したからといって設定が勝手に消えることはないため、慌てて特別な操作をする必要はありません。

定額積立(ドルコスト平均法)なら、価格が安い時期に口数を多く買い付けられる

毎月同じ金額ずつ買い付ける定額積立(ドルコスト平均法)では、価格が下がっている局面ほど同じ金額でより多くの口数を買い付けることができます。

逆に価格が高いときは少なく買う形になるため、中長期的に買付単価を平準化させる効果が期待できます。

積立を継続するかどうかは、相場動向ではなく「ご自身の家計と資金計画」で判断する

下落したという事実だけで設定を変える必要はありません。見直しを検討すべきなのは、家計や資金使途に変化があったときです。

下がった価格がいつ元の水準に戻るかを正確に予測することは誰にもできません。だからこそ、続けるかどうかは市場の動きではなく自分の家計状況をもとに判断します。

具体的には、次の3点を確認してみましょう。

  • そのお金を使う具体的な時期が決まっているか
  • 毎月の積立額を支払った後も、生活費は十分に確保できているか
  • 下落を見て、日々の生活費まで不安になっていないか

【当面使う予定がなく家計に余裕がある人】設定は変更せず、そのまま継続で問題ない

特に使い道が決まっておらず、毎月の積立を続けても生活費に困っていないのであれば、積立設定を変更する理由はありません。

NISAの非課税期間は無期限であるため、市場の回復を何年でもじっくり待つことができます。

【使い道が決まっている資金がある人】売却前に必要な時期と金額を整理しよう

教育費や住宅購入の頭金など、数年以内に使う予定のお金を運用している場合は注意が必要です。必要な時期までに相場が戻らない可能性も考慮しなければなりません。

「いつ・いくら必要になるのか」を整理し、必要に応じて一部だけ売却して現金化しておくなどの対応を検討しましょう。

売却手順や出金スケジュールはNISAはいつでも引き出せる?で解説しています。

【下落で生活費が不安になる人】解約して売るのではなく、毎月の積立額を減額・一時停止する

相場下落を見て日々の暮らしまで不安になってしまう場合、積立額が家計の実力に対して大きすぎる可能性があります。

この場合に見直すべきは、保有資産をすべて売却することではなく、「毎月の積立額」です。

主要ネット証券なら、管理画面から積立額を無理のない金額へ減額したり、一時的に積立をストップしたりできます。停止しても保有分は売却されずに残ります。

減額や停止の基準については、すでに苦しいと感じている人の減額と停止をご参照ください。

下落局面でやってはいけない4つのNG行動(狼狽売り・無理な銘柄変更・無理な買い増し・毎日のチェック)

焦りから相場の動きに合わせて行動を起こすと、かえって損失を広げてしまうリスクがあります。

下落相場で避けるべき典型的な行動パターンを4つ整理しました。

NG行動1:焦って売却する(損失が確定し、生涯枠の復活も翌年以降になる)

値下がりした状態でパニックになって売ってしまうと、その時点で損失が確定してしまいます。

また、売却した分の非課税枠が再利用できるようになるのは翌年以降となるため、同一年のうちに買い直すこともできません。

NG行動2:別の銘柄へ乗り換える(一度売却が必要になり、枠の再利用にタイムラグが生じる)

「もっと値下がりしにくい商品へ移したい」と乗り換えを行う場合、現在の保有商品を一旦売却する必要があります。枠の復活にタイムラグが生じる点は前述の通りです。

NG行動3:安くなったからと無理に買い増す(家計の許容範囲を超えてしまうリスクがある)

「バーゲンセールだから」と生活資金まで削って買い増しを行うのは危険です。積立額はあくまで家計の余裕資金に基づいて設計するべきものです。

投資額を増やすかどうかは、相場ではなく収入や貯蓄に余裕ができたタイミングで検討しましょう。

NG行動4:毎日基準価額をチェックする(精神的なストレスが増えるだけで状況は好転しない)

スマートフォンの画面を毎日開いて損益を一喜一憂しても、相場が好転するわけではありません。

長期投資においては、日々の値動きから少し距離を置くことも大切です。

下落時に唯一確認すべきことは「積立設定が正常に継続されているか」

確認すべき点は、「積立設定が有効に残っているか」と「口座残高不足で未約定になっていないか」の2点に尽きます。

引落口座の残高不足に注意。残高不足が続くと設定自体が停止する場合もある

銀行口座や証券口座の残高が不足していると、その回の積立買付が行われない場合があります。未引落が複数回続くと、積立設定そのものが自動解除されてしまうケースもあります。

引落先に指定している口座に次回分の資金がしっかり入っているかを一度確認しておきましょう。

確認ポイントは2箇所。「積立設定の継続状況」と「約定履歴の反映」

管理画面でチェックするのは「設定が解除されず有効になっているか」と「指定日に買付が正しく反映されているか」の2箇所です。

詳しい画面の確認方法は、積立設定の確かめ方で解説しています。

次にやること

設定をそのままにすると決めたら、積立設定の画面で設定が残っているかを確かめます。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。