急な出費が必要になったとき、NISAで積み立ててきたお金はすぐに使えるのか気になりますよね。「一度始めると満期まで引き出せないのではないか」と誤解してしまい、口座開設をためらっている方も少なくありません。

この記事の結論

NISA口座で運用している商品は、保有期間の途中であってもいつでも自由に売却して現金として引き出せます。ただし、売却注文を出してから実際に銀行口座に着金するまでには数営業日を要します。

現行のNISAで購入した分であれば、商品を売却した場合、その買付金額(簿価)に相当する生涯非課税枠が翌年以降に自動で復活します。

引き出しを検討する際は、ご自身の状況に合わせて以下のように判断しましょう。

  • 必要な金額が決まっている人:全額解約せず、必要な分だけを部分売却する
  • 毎月の積立が家計の負担になっている人:保有商品を解約する前に、毎月の積立額の減額・停止を行う
  • 数日以内に現金を用意したい人:ファンドごとの受渡日数(着金日)を事前に確認しておく

引き出しの手順だけ知りたい人は「売る→入金→出金」の3段階へ。

「NISAは引き出せない」と誤解されやすい理由(預金口座との出金プロセスの違い)

引き出せない制度的な制限があるわけではなく、銀行ATMのように即時出金できない「売却手続き」が必要になる点が誤解を生んでいます。

「NISAのお金は引き出せない」と言われてしまう背景には、銀行預金とは異なる投資商品ならではの現金化プロセスがあります。

ATMから直接下ろすのではなく、「投資信託の売却注文」が必要になるため

NISA口座に入っているのは現金そのものではなく、買い付けた投資信託や株式です。現金として使うには、まず保有資産の売却注文を出す必要があります。

この「売却して現金化する」というステップを挟むことが、「すぐに下ろせない」「拘束される」というイメージにつながっています。

2023年までの旧NISAでは、売却しても投資枠が戻らなかったため

旧NISA制度では、一度商品を売却するとその非課税枠は二度と再利用できませんでした。このルールを知っている方ほど「売ると枠が消えて損をする」と警戒してしまいがちですが、現行制度ではこのデメリットは大幅に改善されています。

「下落相場での売却損」を警戒する声が先行して広まっているため

価格が下がっているタイミングで売却すると損失が確定してしまうのは事実です。しかし、いつ・いくら売却するかは自分自身の裁量でいつでも自由に選べます。

NISAはいつでも自由に途中売却可能。売却枠は翌年以降に自動で復活する

全額解約する必要はなく、必要な金額だけをいつでも部分売却でき、得られた利益には一切税金がかかりません。

全額解約する必要はなく、必要な金額分だけを柔軟に部分売却できる

NISA口座内の資産は、運用を続けながら「今月必要な10万円だけ売る」といった部分売却が可能です。

金融庁の公式資料でも「資金が必要になった場合、部分的に売却するなど臨機応変な使い方が可能」と明記されています。非課税期間も無期限ですので、期限を気にして焦って全額解約する必要はありません。

売却して得られた利益には税金がかからず、全額を手元に残せる

通常の証券口座では売却益に対して約20%の税金が源泉徴収されますが、NISA口座内であれば売却益も分配金も完全に非課税です。利益が差し引かれることなく手元に入ります。

現行NISAなら、売却した買付価格分の生涯枠が翌年以降に復活する

現行NISAで購入した資産を売却した場合、その商品を購入した時の金額(簿価)に相当する生涯非課税枠が翌年以降に復活し、再利用できるようになります。

一時的な出費のために取り崩しても、家計が落ち着いた後に再び非課税で積立を再開できる柔軟な仕組みになっています。

一部売却後も、毎月の定期積立設定はそのまま自動継続される

保有資産の一部を売却したからといって、毎月の積立設定まで止まってしまうわけではありません。

もし毎月の積立自体もストップしたい場合は、売却手続きとは別に管理画面から積立停止の手続きを行いましょう。

資金需要に合わせた引き出し方(「部分売却」か「積立の見直し」か)

すべての資産を一度に売却する必要はありません。家計のピンチの要因に合わせて最適な対処を選びましょう。

引き出しを検討する際は、現在の家計状況を整理して適切なアプローチを取りましょう。

冠婚葬祭や医療費など使途が明確な場合は、必要な金額だけを指定して売却する

主要ネット証券各社では、「金額指定(〇万円分)」または「口数指定」で売却注文を出せます。必要な分だけを現金化し、残りの資産はそのまま運用を継続させるのが賢い方法です。

相場下落時に売却すると損失が確定し、他口座との損益通算もできない点に注意

基準価額が下がっている最中に売却してしまうと、損失が確定してしまいます。また、NISA口座で生じた売却損は他の特定口座などの利益と相殺(損益通算)できないため、税務上の恩恵も受けられません。

相場急変時は、本当に今すぐ売却が必要な資金なのかを冷静に見極めましょう。

毎月の生活費が苦しい場合は、保有資産を売る前に「積立額の減額・停止」を行う

手元の現金が不足している根本的な原因が「毎月の積立額が大きすぎること」にある場合は、運用中のファンドを売却する前に、まず毎月の積立設定を引き下げるか一時停止しましょう。

主要3社なら設定変更はオンラインですぐに反映され、積立を止めても過去に購入した分は非課税のまま口座に残ります。

支払期日が迫っている場合は、現金化までに数営業日かかる点に留意する

投資信託は即日現金化できるわけではありません。売却注文を出してから銀行口座に出金できるようになるまでには数営業日のタイムラグが発生するため、期日に余裕を持って手続きを進める必要があります。

引き出しの具体的手順(「売却注文」→「証券口座へ着金」→「銀行口座へ出金」の3ステップ)

手続きは3段階に分かれており、手元に現金が届くまでに数日〜1週間程度の日程がかかります。

現金化の具体的なステップは次の通りです。

  1. 証券会社の管理画面から保有商品の売却注文を出す
  2. 数営業日後に売却代金が証券口座の買付余力へ反映される(受渡日)
  3. 証券口座から普段使っている銀行口座へ出金手続きを行う

主要ネット証券各社では「金額指定」または「口数指定」で売却注文を出す

楽天証券、SBI証券、マネックス証券のいずれも、保有商品一覧から対象ファンドを選び、金額(1円単位)や口数を指定して簡単に売却できます(全額売却も可能)。

売却代金の受渡日はファンドによって異なり、通常3〜6営業日程度かかる

投資信託は、約定日(価格が決まる日)と受渡日(代金が決済される日)が異なります。国内資産ファンドなら約3〜4営業日、海外資産ファンドなら約4〜6営業日程度かかります。

クレジットカードの引き落とし日や家賃の支払期日がある場合は、スケジュールを逆算して早めに売却注文を出しておきましょう。

証券口座から銀行口座への出金手数料は主要3社とも原則無料

証券口座に売却代金が着金した後、Web上から銀行口座への出金指示を行います。主要3社における売却方法と出金手数料は下表の通りです。

主要3社の売却指定方法と銀行出金手数料
証券会社売却時の指定方法銀行口座への出金手数料
楽天証券金額指定、口数指定(全額売却も可)無料
SBI証券金額指定、口数指定(全額売却も可)無料
マネックス証券金額指定、口数指定(全部解約も可)通常出金は無料

出典:楽天証券・SBI証券・マネックス証券公式サイト(2026/10/23時点)

次にやること

保有の途中でも売って引き出せるとわかったら、次は始め方を一度だけ確認しておきます。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。