NISAの上限枠がいくらなのか、使い切らないと損をしてしまうのか気になりますよね。また「途中で売却したら非課税枠が消えてしまうのではないか」と不安で設定をためらってしまう方もいます。
この記事の結論
NISAには2種類の上限が設定されています。1年間に使える枠は2つの合計で最大360万円、一生涯で使える枠は最大1800万円です。
生涯枠のうち成長投資枠として使えるのは最大1200万円までとなっています。なお、保有商品を売却した場合、その買付価格(簿価)分の枠は翌年以降に再利用できるようになります。
上限額は使い切らなければいけない目標ではありません。運用スタイルに合わせて柔軟に活用しましょう。
- 毎月の積立で進める人:上限額よりも「無理なく続けられる毎月の積立額」を優先して決める
- まとまった資金を入れたい人:つみたて投資枠と成長投資枠を同じ年にフル併用する
- 将来売却する可能性がある人:売却した買付金額分の枠が翌年以降に復活することを知っておく
金額だけ確認したい人は上限の表へ。
「上限まで使わないと損?」「売ったら枠が消える?」と誤解されやすい理由
不安の原因は金額の大きさではなく、「年間上限」と「生涯上限」という異なる2つの概念が混ざってしまうことにあります。
そう感じるのは決して不自然ではありません。上限枠が2種類あり、それぞれ数え方やルールが異なるためです。しかし、どちらの数字も「無理に使い切らないと損をする」という類のものではありません。
理由1:性質の異なる「年間上限」と「生涯上限」が同時に解説されやすいため
NISAの解説では、1年間に投資できる枠と、一生涯で保有できる枠が並んで紹介されます。性質の異なる2つの数字を同時に見ることで、どちらがどの制限なのかが混乱しやすくなります。
「年間上限」は1年間に新しく買える金額の上限であり、「生涯上限」は口座内で保有している資産の購入時合計額の上限を指します。
理由2:年間枠は翌年に繰り越せないため「使い切らないと損」と錯覚しやすいため
その年に使わなかった年間枠は、翌年に持ち越すことができません。ただし、ある年に投資を行わなかったとしても、生涯で使える1,800万円の枠が減ることはありません。生涯枠は「実際に購入した総額」でカウントされるためです。
理由3:旧NISAでは売却しても枠が戻らなかったため
2023年までの旧NISAでは、商品を一度売却するとその非課税枠は消滅していました。しかし現行のNISAでは、枠の復活ルールで後述する通り、売却した分の枠が翌年以降に再利用できるよう大きく改善されています。
NISAの枠構造(「1年ごとの上限」と「一生の上限」の違い)
1年ごとの上限は各枠の合計値であり、一生の上限は2つの枠を合算して管理します。
2つの枠における上限額の詳細は以下の通りです。
| 枠の種類 | 1年ごとの上限(年間投資枠) | 一生の上限(非課税保有限度額) |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円 | この枠だけで1800万円の全額まで利用可能 |
| 成長投資枠 | 240万円 | 最大1200万円まで |
| 合計 | 360万円 | 最大1800万円 |
出典:金融庁 NISAを知る/金融庁 よくある質問(2026/10/23時点)
年間上限は、2つの枠を同じ年にフル併用した場合の合計額
つみたて投資枠と成長投資枠は同じ口座で同時に併用できます。そのため、1年間に投資できる最大額は両枠を合算した360万円となります。
枠の使い分けや対象商品の違いは、つみたて投資枠と成長投資枠の各解説ページをご参照ください。
生涯上限は合計1,800万円。成長投資枠には1,200万円の内枠制限がある
一生で使える枠は、正式には「非課税保有限度額」と呼ばれます。この1,800万円は2つの枠全体で共有されます。
つみたて投資枠だけで1,800万円を全て埋めることも可能ですが、成長投資枠については最大1,200万円までという内枠が定められています。
生涯枠のカウントは「時価」ではなく「買付価格(簿価)」で管理される
生涯上限額の計算において非常に重要なのが、資産の価値が上がっても使った枠は増えないという点です。枠の消費は「購入時の価格(簿価残高)」で管理されます。
購入後に資産がどれだけ値上がりしても、消費した枠が膨らむことはありません。この仕組みが、次に解説する「売却時の枠復活」のベースになります。
商品を売却した場合、購入時の簿価分だけ翌年以降に生涯枠が復活する
復活するのは「生涯の上限枠」であり、再利用する際も「年間上限(360万円)」の範囲内で買い付ける形になります。
現行のNISAでは、商品を売却すると生涯枠が再利用可能になります。大まかな流れは次の4ステップです。
- 投資信託などを購入し、買付額分だけ生涯枠を消費する
- 資金が必要になり、商品を売却する
- 翌年1月1日以降、売却した商品の「購入時の金額」分だけ生涯枠が復活する
- 復活した枠を使って、年間の上限範囲内で再び投資を行う
復活する枠の大きさは「売却金額」ではなく「買った時の元本」で決まります。以下の計算例で具体的に確認してみましょう。
| 売却時のシチュエーション | 実際の売却金額 | 翌年に復活する枠 |
|---|---|---|
| 値上がりして全額売却した | 120万円 | 100万円分(買付元本分) |
| 値下がりして全額売却した | 80万円 | 100万円分(買付元本分) |
| 値上がりした段階で半分だけ売却した | 60万円 | 50万円分(元本の50%分) |
出典:金融庁 NISAを知る/日本証券業協会 2024年以降のNISAに関するQ&A(金額は編集部の計算例)(2026/10/23時点)
値上がりして売却しても、戻るのは「購入時の買付額」
100万円で買った商品が120万円に値上がりして売却した場合でも、翌年に復活する生涯枠は購入時の100万円です。利益を含んだ120万円分が復活するわけではない点に注意しましょう。
値下がりして売却した場合でも、購入時の買付額がしっかり戻る
仮に100万円で買った商品が80万円に下落した段階で売却したとしても、復活する生涯枠は購入時の100万円分です。売却額が目減りしていても、戻る投資枠自体が削られることはありません。
一部だけ売却した場合は、売った比率に応じた購入額が復活する
保有分の一部のみを解約・売却した際も、売却金額ではなく対応する簿価分が計算されて復活します。半分を売却したなら、購入元本の50%相当額が翌年に戻ります。
枠が復活するのは「売却の翌年」。再利用時も年間上限が適用される
注意点として、売却した年内にすぐその枠を再利用できるわけではありません。枠が戻るのは売却した翌年以降となります。
また、復活した枠を使い直す際も、1年間に投資できるのは通常の年間上限(最大360万円)までです。戻った枠が一括で年間上限に上乗せされるわけではありません。
具体的な売却の流れや現金化までの日数は、NISAの引き出し方で解説しています。
積立投資で大切なのは、上限額を埋めることより「続けられる月額設定」
上限枠をすべて使い切ることは、NISAを始める必須条件ではありません。
つみたて投資枠の年間上限(120万円)を埋めるには月10万円が必要
つみたて投資枠の年間上限を月々に換算すると10万円となります。家計の状況に合わせて月1万円や2万円からスタートしても何ら問題ありません。
上限額はあくまで「ここまで投資して良い」という天井であり、目指すべきノルマではありません。
生涯上限(1,800万円)に到達するまでの年数は、積立ペースによって様々
毎月の積立額に応じて、生涯枠に到達するまでの期間は次のように大きく変わります。
- 毎月1万円ずつ積み立てる場合:150年
- 毎月3万円ずつ積み立てる場合:50年
- 毎月5万円ずつ積み立てる場合:30年
- 毎月10万円(上限枠いっぱい)の場合:15年
※上記年数は元本のみの単純計算であり、運用収益や途中売却などは考慮していません。
一般的な家計の積立ペースでは、生涯枠を使い切るまでに何十年もの時間を要します。枠を埋めるスピードを焦る必要はなく、生活に支障のない範囲で淡々と続けることが大切です。
まとまった資金を投入したい場合は「成長投資枠」を併用する
余裕資金を一括で運用に回したい場合は、成長投資枠を併用することで年間最大360万円までペースを上げられます。具体的な活用方法は、成長投資枠の解説で案内しています。
仮に生涯枠を使い切った後でも、売却すれば何度でも再利用が可能
将来的に生涯上限の1,800万円に達した場合でも、マイホーム購入や教育費などで資金が必要になって一部を売却すれば、翌年以降にその分の枠が戻り、再び投資を再開できます。
次にやること
上限と枠の戻り方を確認したら、次は積立を始める口座を決めます。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。
