NISAという言葉はよく耳にするものの、調べれば調べるほど難しく感じてしまいますよね。制度の枠や数字の条件が先に並び、自分が具体的に何をすればよいかが見えにくくなるのが大きな原因です。
この記事の結論
NISAとは、専用のNISA口座で購入した運用商品の利益に税金がかからなくなる国の優遇制度です。利用するにはまず口座を開設する必要があります。「どの商品を買うか」の前に、「どの口座で買うか」という土台の話になります。
旧制度にあった積立の役割をそのまま引き継いだのが、現在の「つみたて投資枠」です。
押さえておくべき基本原則は、次の3点に集約されます。
- 口座は1人につき1口座のみ開設可能
- 投資できる金額には年間・生涯の枠が設けられている
- 利益が非課税になる期間は無期限
毎月決まった額をコツコツ積み立てたい初心者がまず活用すべきなのは「つみたて投資枠」です。なお、2023年以前からNISA口座をお持ちの方は、事前に2023年までのNISAからの移行を確認しておくとスムーズです。
NISAの仕組みをすでに知っている人は自分はどちらの枠を使うかへ。
NISAが分かりにくく感じる3つの理由(古い制度の情報と呼び名の混同)
分かりにくさを感じるのは自然なことです。2024年1月の抜本的な制度改正以降も、インターネット上には旧制度の説明が多く残されています。
※現在の制度では「つみたて投資枠」という名称です。ただし2023年までに購入した分は、別枠として引き続き管理されます。
理解しづらいと感じる原因は、調べる側の知識不足ではなく、情報発信側に混乱しやすい3つの要因があるためです。
理由1:新制度開始後も、過去の古い説明が検索上位に残っている
現在の新しいNISAは2024年1月にスタートしました。以前の制度では非課税期間に年数の上限がありましたが、新制度では無期限に改定されています。
検索結果で過去の記事を開いてしまうと、現在には当てはまらない古い条件が混ざってしまうため注意が必要です。過去の制度の取り扱いを知りたい場合は、2023年までのNISAからの移行で詳しく解説しています。
理由2:「新NISA」など複数の呼び名があり、違いを見分けにくい
現行の制度はメディアによって「新NISA」と呼ばれることもあります。旧制度の「一般NISA」や「つみたてNISA」と並べて語られると、別の制度なのか同じものなのかが判断しづらくなりがちです。
呼び方はさまざまですが、これから投資を始める方が使うのは現在のNISAのみとなります。
理由3:全体の仕組みより先に、細かい数字や条件から解説されがち
多くの解説記事では、非課税枠の金額や期間といった細かなルールが冒頭から並びます。全体の骨組みが見えないまま数字を追うと、どこが重要なのかを見失ってしまいます。本記事では、まず大きな全体像から順に整理していきます。
NISAの基本仕組み(投資の利益が非課税になる国の制度)
NISAは金融商品の名称ではなく、国の税制優遇制度です。専用の口座内で買い付けた商品から得られる利益に税金がかかりません。
NISAは「何を買うか」ではなく「どの口座で買うか」という枠組み
NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」です。「NISA」という単体の投資商品があるわけではなく、金融機関で開設した「NISA口座」の中で株式や投資信託を購入する仕組みです。
投資先を選ぶことと、口座を選ぶことは別のステップになります。NISA口座内で運用した商品のみが非課税の対象となります(元本保証はありません)。
通常の口座なら引かれる約20%の税金が、NISAならゼロになる
通常の証券口座(特定口座や一般口座)で投資を行うと、得られた利益に対して約20%の税金がかかります。しかしNISA口座の中であれば、値上がり益はもちろん、投資信託の分配金や株式の配当金に対しても税金が差し引かれません。
なお、株式の配当金を非課税で受け取るには所定の受取方式設定が必要です。詳細はNISAに税金はかかる?で案内しています。
毎月の積立運用は「つみたて投資枠」で行う
旧制度の「つみたてNISA」が果たしていた機能は、2024年1月から「つみたて投資枠」へと受け継がれました。月々の定期的な積立を行う場合は、基本的にこの枠を使用します。
購入可能な銘柄や具体的な上限額については、つみたて投資枠で買える商品と上限額をご覧ください。
最初に覚えるべきルールは「1人1口座」「上限額」「無期限」の3つだけ
スタート時に意識しておくべき要点は、以下の3項目に絞られます。
- NISA口座はすべての金融機関を通じて1人1口座のみ
- 投資可能な金額には、年間枠と生涯枠の上限がある
- 利益に税金がかからない期間は無期限
口座内には2つの枠が用意されており、それぞれの役割と年間上限は以下の通りです。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 一定額を定期的に積み立てる | 株式や投資信託を自由に選んで買う |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
出典:金融庁 NISAを知る、国税庁 新NISAのあらまし(2026/10/23時点)
2つの枠を合算した生涯の非課税保有限度額は、最大で1800万円となります。
枠の詳しい計算や管理方法については、NISAの上限はいくら?で解説しています。
初心者の方は、まず「つみたて投資枠」から活用しよう
どちらの枠から使うべきかは、「毎月コツコツ積み立てる」か「自分で銘柄を選んでスポット購入するか」によって決まります。
毎月一定額を積み立てるなら「つみたて投資枠」で無理なく開始できる
つみたて投資枠は、長期的な資産形成に適した投資信託を定期的に買い付けるための専用枠です。金融庁の基準を満たした厳選商品のみが対象となっています。
2つの枠は同じ年に併用することも可能ですが、まずは「つみたて投資枠」だけを利用してスタートしても全く問題ありません。
個別の国内・海外株式を買いたい場合は「成長投資枠」を併用する
一般的な上場株式を購入したい場合は、成長投資枠を利用することになります(つみたて投資枠では株式を直接購入できません)。成長投資枠の特徴や活用法は、成長投資枠とは?で詳しく解説しています。
旧制度の口座を持っていた人は、新規開設の手間が不要な場合もある
2023年末時点で旧NISA口座を利用していた方は、原則として現行制度の枠が同じ金融機関内に自動開設されています。そのため、改めて口座開設を申し込む必要がないケースが大半です。
自動開設の対象かどうかや、過去の保有資産の扱いについては、2023年までのNISAからの移行で確認できます。
制度の基本を押さえたら、次は「口座を開く証券会社」を1社選ぼう
上限額のルールや細かな仕組みは、口座を開設して積立をスタートさせた後から確認しても十分に間に合います。
1人1口座だからこそ、最初の証券会社選びが大切な出発点になる
NISA口座は複数の金融機関で同時に持つことができません。2つの枠も同一の金融機関内で利用します(18歳以上であれば年単位での変更は可能です)。
※日本在住の18歳以上(開設年の1月1日時点)であれば利用可能です。なお、2027年1月1日からは0〜17歳を対象とした「つみたて投資枠」も開始予定です。
上限額や枠の再利用ルールは、投資規模が大きくなってから気にすればOK
つみたて投資枠の上限(年間120万円)を12か月で割ると、月あたり10万円です。月々の積立額がこの範囲内であれば、年間の上限枠をオーバーする心配はありません。細かな再利用ルールなどは、積立額を増やしたくなった段階で確認すれば十分です。
主要ネット証券なら積立額をいつでも変更可能。まずは少額から始めよう
楽天証券、SBI証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、積立額の変更手続きがオンライン上でいつでも簡単に行えます。最初から無理な金額を設定せず、まずは少額から気軽にスタートしてみましょう。
口座開設から初回の積立設定までの実践的な手順は、NISAの始め方で分かりやすく解説しています。
次にやること
仕組みがわかったら、次は口座をどこで作るかを決めます。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度や各金融機関のサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は金融庁および各金融機関の公式サイトでご確認ください。
